続・平安神宮◎花菖蒲
本日も、ご訪問ありがとうございます
中神苑(蒼龍池)についてご報告します
西神苑から小川沿いに鬱蒼とした林間をぬけると、
一瞬に視界が開け、『蒼龍池』の風景が広がります
池に浮かぶ珊瑚島までは、
この橋を渡る人には、“龍の背にのって、
池に映る空の雲間を舞うかのような気分を味わっていただく”
という小川治兵衛の作庭の意図が織り込まれているといいます
『蒼龍池』には、5月上旬から下旬まで、
紫一色の杜若、およそ1000株が彩ります
残念ながら時期は終わっていて見られませんでしたが、
紫一色の自然で素朴な美しい光景が広がっているんでしょうねぇ
その中に、光格天皇が愛したといわれる
一層貴賓にあふれた品種の一群があるんだとか
白地に紫の模様が入り、千代紙で折った鶴を
そっとそのまま置いたかの様な姿に、
「折り鶴」の名がつけられています
来年の杜若の時期は是非この「折り鶴」を一見したいなと・・
『蒼龍池』にも睡蓮が・・・
蓮の花とよく間違われる睡蓮の花
蓮は高く茎を伸ばして咲きますが、
睡蓮は水面上に浮いて花を咲かせます
日本種は未草と呼ばれる白い花、というのはお話ししましたねぇ
現在多く見られる赤や黄など彩り豊かな品種は、
外来の西洋睡蓮ということになります
エジプトでは、ナイル川のそばにたくさん咲いていることから
「ナイルの花嫁」と呼ばれ、国花になっているんですよぉ
(インド、タイ、バングラデシュの国花でもあります)
残る東神苑の栖鳳池、尚美館、泰平閣、
中国の伝説の仙郷「蓬莱山」をあらわした「鶴島」、「亀島」等は、
次の機会にご案内したいと思います
いずれがアヤメかカキツバタという言葉は、
皆様も聞かれた事はありますねぇ・・・
“似たもの同士、どちらがどうかと判断に迷う”場合の例えに、
この言葉が使われますね
元々は、いずれ劣らぬ美人が二人いる時に使っていましたが、
最近は“いずれも優劣がつけ難いほど素晴らしいもの”を例えて
使う言葉になっているようです
その出所は諸説ありますが、
「源三位頼政」が大勢の美しい官女達のなかからの嫁探しをする際、
はたと困惑して、「五月雨の 沢辺のまこも 水超えて
何れあやめと 引き添わすらむ」と呼んだ時に、
「あやめ御前」がこれに応えて、二人が目出度く結ばれた
という故事があるんですよぉ
見分けにくくっていったい何処が違って、
どうやって見分けるんだろうかと・・・
そこで、この機会にアヤメとカキツバタの違い調べましょ
と思って調べていると、さらに面白いことを見つけましたぁ
- アヤメとショウブはどちらも漢字で書くと『菖蒲』
- 漢字は同じでも、菖蒲(アヤメ)と菖蒲(ショウブ)は全く別物です
- 菖蒲(ショウブ)と、菖蒲園などで見る花菖蒲(ハナショウブ)も別物
- よって、アヤメとショウブとハナショウブは別物
- そこに、杜若(カキツバタ)が加わって4つ巴状態に・・・
漢字が同じだったり、葉っぱや花が似てたり・・・
何がどうしてどうなってるのと混乱してしまいますが
整理してみますと、(1)菖蒲湯に入れる「菖蒲」
(2)「花菖蒲」
(3)「あやめ」(漢字で書くと菖蒲)
(4)「かきつばた」(杜若)
この4つが似ているが、実は全く違う別物だという事なのです
植物学的には(2)「花菖蒲」、(3)「あやめ」、
(4)「かきつばた」は全て〝アヤメ科アヤメ属〟
ところが(1)菖蒲湯の「菖蒲」は、〝サトイモ科〟で、
葉っぱがにて似ているだけで別物
花も咲くけど綺麗な花ではなく、
蒲(がま)の穂みたいな黄色い花なのです
(これは、立夏の時に少しお話しましたねぇ)
5月5日の『端午の節句』の菖蒲湯に入れるあの「菖蒲」に、花が咲くと、菖蒲園に咲いている「菖蒲(花菖蒲)」なのだろう
と思っていらっしゃる方も多いのではぁ
お恥ずかしい・・・
菖蒲湯の「菖蒲」は『葉菖蒲』として
解りやすく区別してくれている場合もあるんですよぉ
名前の由来からひもときますと・・
「はなしょうぶ(花菖蒲)」
葉が菖蒲に似ていて花を咲かせるから
「あやめ(菖蒲)」
剣状の細い葉が縦に並んでいる様子が文目(あやめ)模様だから
(花基部の網目模様からの説もあり。)
「かきつばた(杜若)」
かきつばたの色(青紫)を染み出させ布などに書き付けた、
衣の染料に使われたことから「書付花」と呼ばれていたのがなまったもの
「花菖蒲」、「あやめ」、「杜若」は、
いずれも〝アヤメ科アヤメ属〟に属しています
とてもよく似ていて見分けにくいので、
それぞれの特徴から見分ける方法を探しますと
まずは、【咲く場所の違い】
「杜若」は水辺などの湿地帯に適し、
「花菖蒲」はその中間で、畑地でも湿地でも栽培できます
- 水辺で咲いているのは「杜若」か「花菖蒲」
「あやめ」ではない
- 乾いた畑で咲いているのは「あやめ」か「花菖蒲」
「杜若」ではない
【背のたけ】から
「あやめ」が一番背が低い(30~60cm)、
「杜若」が中間(50~70cm)、「花菖蒲」は背が高い(80~100cm)
【花の大きさ】から
花の大きさは「花菖蒲」が大輪、「あやめ」が小輪、
「杜若」が中輪になります
こちらは「花菖蒲」・大輪
こちらは「あやめ」・小輪
文目(あやめ)・網目模様の花弁
こちらは、「杜若」・中輪水辺で咲いているのは「杜若」ですよぉ~
【見た目の違い】をあげますと
「花菖蒲」は花の種類が多く、紫系統の他に黄色や白、
絞り等、多彩で、どれも「花弁の根元の所に黄色い目の形の模様」がある
「杜若」はあまり種類は多くないけれど、
「花弁の弁の元に白い目型の模様」があるのが特徴
「あやめ」も花の種類は多くないが、
「花弁の元のところに網目状の模様」がある
以上の事から、一番解りやすい見分け方は・・・
咲いている場所が乾燥地か湿地なのか
そして模様が「花菖蒲」が黄色の目型模様、
「あやめ」が網目模様、「杜若」が白の目型模様
これで来年からは完璧です
見分けることが出来ちゃいますねぇ~
来年の花期5月から6月が楽しみです
来年まで待ってられないわという方は・・・。
京都左京区広河原には、天然記念物にも指定されている
“雪の中でも咲く”珍種の「杜若」があるんですよぉ
Cobaも冬になったら訪れてみようかななんて思ってます
またその時はご報告したいなと思いまぁす