弥生◎黄蘗月
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京都の四季とCobaのお花と共に暮らす日常をお便りします♪
桃花笑春風(とうかしゅんぷうをえむ)
~桃の花が春風に誘われて咲きほころんだ様子、春の喜びの歌~
待ちわびた春はもうすぐそこまで来ています
3月1日、本日の京都は生憎の雨ではありましたが・・・
この一節と共に、待ちに待った3月、
素晴らしい春のスタートを切りたいと思います
桃花笑春風・・・唐代の詩人、「崔護(さいご)」の七言絶句【人面桃花】の一節です
去年今日此門中(去年の今日 此の門の中)
人面桃花相映紅(人面 桃花あい映じて紅なり)
人面不知何處去(人面いずれのところより去るや知らず、人面はいずこにか去るを知らざるも)
桃花依舊笑春風(桃花 旧に依りて 春風に笑む)
春風に揺られて咲いている桃の花が、微笑んでいる様に美しく咲いている
人の姿は変わっても、花の姿は変わらない
桜の花も桃の花も、春風が吹く度に同じ姿、同じ香りで咲きほころぶ
3月は弥生(やよい)
日本では、旧暦3月を弥生と呼びましたが、
現在でも新暦3月の別名としても用います
弥生は、“草木がいよいよ生い茂る月”という意味
「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」が詰まって「やよひ」となったといいます
※「弥」には、いよいよという意味、「生」には生い茂るという意味がありますよ
他に、花月(かげつ)、嘉月(かげつ)、花見月(はなみづき)、
夢見月(ゆめみつき)、桜月(さくらづき)、暮春(ぼしゅん)、
季春(きしゅん)、雛月(ひなつき)等の別名もあります
季節としては「仲春(ちゅうしゅん)」になりますよ
「仲春」は『啓蟄』から『清明』の前日まで(2015年は3月6日から4月4日)
桃の花が咲く3月
冬と春の間を、行ったり来たりする言葉が揃います
早春(そうしゅん)
『立春』を過ぎても、冬の寒さが続く頃に使われる季語です
キリッと引き締まる寒気のなかにも、春を見出そうとする心を映します
光の春
『立春』過ぎは日差しが強さを増し、
芽吹きなどが春の到来を知らせてくれますその様子が光の春
冬の厳しいロシアで生まれた言葉だそうです
甘雨
草木にやわらかくそそぐ春の雨
植物や農作物の成長を促す、優しい雨です
冴え返る(さえかえる)
春になって緩んだ寒さがぶり返すことをいいます
弥生の頃の季節のお花はといいますと・・・
桃(桃の花)
3月3日の『桃の節句(ひな祭り)』には、桃を「ひな人形」の隣に添えますね
これは温室内で育てた桃で、
屋外の桃の開花は、もう少し後になってからになりますよ
また、桃にも早咲きと遅咲きがあります
枝に沿ってびっしりと花をつけるのが特徴です
いろいろ種類がありますが、普通よく見かけ、
園芸店やお花屋さん等で売られているのは
「花桃(花を鑑賞する目的の園芸品種)」になりますよ
観賞用の品種には「源平桃(げんぺいもも)」、「枝垂れ桃(しだれもも)」などがあって
庭木として、あるいは華道等で切り花として用いられますね
日本ではなんと、縄文時代の初期から栽培されているんですよ
実が赤いところから、「もえみ(燃実)」が変化して「もも」になったようです
また、桃の字は中国から伝わったといいます
桃の字の「兆」は“妊娠の兆し”を意味していて、
桃が「女性」や「ひな祭り」と関係があるのは、この理由からなんだそうですよ
桃の花の色から「桃色」という色名も生まれました
花言葉は「チャーミング」、特に「枝垂れ桃」の花言葉は「私はあなたのとりこです」
沈丁花(じんちょうげ)
沈丁花の原産地は中国南部で、
日本にある木は、殆どが雄株で雌株はほとんど見られないんだそうですよ
日本では室町時代頃にはすでに栽培されていたとされています
花芽は、前年の秋には出来ていますが、
実際に咲き出すまでに寒い中、3ヶ月以上を花芽のままで過ごします
沈丁花の名前は、“香木の「沈香(じんこう)」のような良い匂いがあって、
「丁子(ちょうじ、クローブ)」のような花をつける木”、
という意味でつけられたんだそうです
因みに漢名は、「瑞香(ずいこう)」
花言葉は「優しさ」、「おとなしさ」、「栄光」「不死」「不滅」「歓楽」「永遠」
雪柳(ゆきやなぎ)
中国原産という説もありますが、日本原産であると考えられています
葉が柳の葉に似て細長く、
枝いっぱいに白い花を雪が積もったように咲かせるところから雪柳
花が散った後の地面も、雪が薄っすらと積もったように見えますねぇ
蕾がピンク色の、「フジノピンク」という品種もありますよ
別名は「小米花(こごめばな)」、白い小花を米に見立てたようです
雪柳は公園や庭先でよく見かけますが、
自生種は石川県で絶滅危惧I類に指定されているなど、
地域的には絶滅が危惧されています
日本原産である雪柳、大切に守っていきたい植物の一つですねぇ
花言葉は「愛嬌」、「愛らしさ」、「懸命」、「静かな想い」
馬酔木(あせび)
「あしび」、「あせぼ」とも呼ぶそうです
微かに香る壷形の花をいっぱい咲かせます
枝葉に「アセボチン」という有毒成分を含んでいて、
馬が食べると酔って足がなえることから「足癈(あしじひ)」と呼ばれて、
しだいに変化して「あしび」そして「あせび」となったといいます
漢字の馬酔木もその由来によるそうです
ヒヤシンス
ギリシャ地方原産で、16世紀にヨーロッパに渡り、
日本には1863年頃に、フランスから「チューリップ」とともに渡来しました
とても甘く良い香りが特徴で、耐寒性秋植え球根として扱われ、
鉢植えや水栽培などで手軽に観賞出来て人気がありますねぇ
「風信子」、「飛信子」という和名あって、
香りが風によって運ばれる様を表しています
「ヒアシンス」ともいいますよ
ヒヤシンスの名は、[ギリシャ神話]の美青年「ヒュアキントス」に由来します
同性愛者であった美青年「ヒュアキントス」は、
円盤投げに興じていました
(古代ギリシャでは同性愛は普通のことで、むしろ美徳とされていました)
しかし、その楽しそうな様子を見ていた西風の神「ゼピュロス」は、
やきもちを焼いて、意地悪な風を起こしました
(彼も「ヒュアキントス」を愛していました)
その風によって「アポロン」が投げた円盤の軌道が変わり、
「ヒュアキントス」の額を直撃してしまいました
「アポロン」は医学の神の力をもって懸命に治療するのですが、
その甲斐なく「ヒュアキントス」は大量の血を流して死んでしまいました
ヒヤシンスは、この時に流れた大量の血から生まれたとされています
このエピソードから花言葉は、「悲しみを超えた愛」となっています
他には「しとやかな可愛らしさ」、「初恋のひたむきさ」というものもあります
西アジア、トルコ地方原産です
原産地では、湿地に自生する多年草です
ラナンキュラスは、葉の形がカエルの足に似ていることから、
ラテン語のrana (カエル) を語源として名付けられました
花びらが幾重にも重なった可憐な花姿がとても人気ですねぇ
別名は「花金鳳花(はなきんぽうげ)」
“色彩の華やかな金鳳花”という意味ですよ
花言葉は「あなたは魅力に満ちている」
パンジー
パンジーはヨーロッパまたはアジア西部原産がです
日本へは江戸時代に渡来したんだそうですよ
「菫(すみれ)」の園芸品種で、寒さにも強く、
秋から翌春にかけて長く咲き続けて、
花壇の主役として人気がありますねぇ
パンジーはフランス語の「パンセ(考える)」という意味で、
蕾が下を向く形が、人が頭を垂れ、物思う姿に似ているところから命名されたそうですよ
パンジーに似た品種に「ビオラ」がありますね
花の直径が3~5cm以上のものをパンジー、
それより小さいものを「ビオラ」と、区分けして呼ぶということです
パンジーは別名、「三色菫(さんしきすみれ)」
花言葉は「思慮深い」、「もの想い」、「わたしを想って」
そして3月弥生は黄蘗月(きはだづき)
黄蘗色はミカン科の高木「黄蘗」から生まれた色名で、
防虫にきく染料は、経典の染紙にも使われます
草木がいやが上にも生える頃の意で「いやおい」、それが転じて弥生
春をストレートに伝えるイメージカラーは「黄」、
「黄緑」、「ピンク」などの明るい色になりますね
なかでも「黄色」は、発奮し躍動する希望の色
気持ちの春飾りにふさわしい基調色ですねぇ